歯ぎしりで歯がすり減ったり、知覚過敏がなかなか治らなかったりして悩んでいる方も多いのではないでしょうか。歯ぎしりは歯を失う原因にもなり、歯や顎に大きなダメージを与えます。歯ぎしりの原因は主にストレスと言われています。ストレスは自分では 気づかずに歯ぎしりとして現れることがあるのです。今回は歯ぎしりが起こる原因とその対処法、歯ぎしりが引き起こす症状についてお伝えします。ぜひ、参考にしてください。

1.歯ぎしりを引き起こす5つの原因と対処法

1−1.環境の変化や心理的ストレスが原因

歯ぎしりの原因で最も有力なのがストレスです。引越し、転職、入学などの環境の変化で歯ぎしりが強くなることがあります。また、近親者が入院したり、亡くなったりするとストレスはかなり強くなり、歯が欠けたり、詰め物が取れたりと症状が出ることがあります。

対処法

現代の社会でストレスを無くすことは不可能です。ストレスとうまく付き合っていくしかありません。自分の時間を作ったり、趣味の時間を楽しんだり、ストレスをうまくコントロールすることで歯ぎしりもコントロールしていきます。また、自分でストレスが溜まって、歯ぎしりしそうなときはマウスピースを使って歯を守ります。

1-2.歯並びはきれいな方がいい

歯並びがきれいな人でも歯ぎしりをしますので、歯並びだけが原因ではありません。しかし、歯並びが悪いことによって噛み合わせが変化しやすくなり、歯ぎしりもしやすくなります。また、歯並びが悪い人が歯ぎしりをすると、噛み合っている歯が少ないために、噛んでいる部分に多くの負担がかかりダメージが大きくなります。

対処法

歯列矯正や部分矯正などで一部分だけに力が集中しないような歯並びにしておく方がいいのです。最近は大人の方でも矯正治療をされる方が増えています。

1-3.噛み合わせは常に変化している

噛み合わせは常に変化しています。成長や歯科治療、歯周病、老化、歯のすり減りなどその変化に対応するために歯ぎしりによって噛み合わせを自分で調整しています。ある程度の自然な変化は体にとって必要なことです。20代の時と70、80代の時では顎や歯の形も変わっているはずです。しかし、虫歯の放置や歯周病など短期間で噛み合わせが変わると歯ぎしりが強くなります。

対処法

虫歯や歯周病によって歯ぎしりが引き起こされ、逆に歯ぎしりによって虫歯や歯周病が悪化します。手遅れになる前に治療と予防をし、歯ぎしりを引き起こさない噛み合わせを維持することが大切です。

1-4.癖は早めに直しておく

無意識に行っている癖が夜寝ている時に出てしまうこともあります。日中食いしばりが多い人は筋肉が記憶していて、寝ている間も行なってしまうのです。例えば子供の指しゃぶりなどと同じように無意識に出てしまいます。

対処法

日中、意識のあるときに歯を噛み合わせないようにすることです。人は安静空隙(あんせいくうげき)と言って、常に歯と歯の間に1mm程度の空間があり、歯と歯は普段は接触していないのです。1日で食事の際、接触するのは15分〜20分程度です。日中、歯と歯を接触させないことを意識することによって、寝るときの歯ぎしりを予防することができます。

1-5.顎も歯もすり減って行く

年齢と共に顎の関節はすり減り、関節が平らになってきます。その形に合わせて歯の形も変化させるために歯ぎしりによって歯を削っています。自然な顎変化や歯のすり減りは問題はありません。しかし、急激な変化が歯ぎしりを引き起こします。特に酸蝕症(さんしょくしょう)などによって歯がもろくなり、すり減ってしまうと歯ぎしりの原因になります。

酸蝕症とは

みかんやレモンなど酸性の強い食べ物を多量に食べることによって、歯の表面の硬いエナメル質が溶かされ、柔らかい象牙質が出てくることです。歯のエナメル質が溶かされることによって歯のすり減りが早くなり、噛み合わせが変化します。

対処法

ほどほどに食べることは問題がありません。食後溶けてしまったエナメル質を再生させるために、キシリトールガムを噛んで唾液を多く出してください。また、エナメル質が溶けてしまったところは樹脂などで埋めるようにします。

2.歯ぎしりによって起こる症状

2−1.噛むと痛い

歯ぎしりによって歯の周りにある歯根膜という膜が炎症を起こし、噛むと痛くなります。歯ぎしりは長時間続くと、歯や歯の周りの組織にダメージを与えます。特に奥歯が噛んで痛い、上も下も左右も痛いなど、場所が特定できず痛みの位置が変わる場合は、虫歯ではなく歯ぎしりによって痛みが出ている可能性があります

2−2.歯がしみる

歯ぎしりによって歯や歯茎にダメージが加わると歯がしみることがあります。歯ぎしりによって歯の根元や噛む面が削れてきたり、歯に亀裂が入ると歯のしみが強くなります。

2−3.歯が痛い

歯ぎしりによって歯に亀裂が入り、神経が死んでしまうことがあります。歯ぎしりによって歯に亀裂が入ると、そこから細菌が神経に感染し、死んでしまうことがあります。初期の頃はしみたり、多少噛んでも痛い程度で、その後強い痛みが出ることがあります。ただし、歯医者のレントゲンでは小さな亀裂を確認することはできないため、急に痛みが出ることがあります。

2−4.歯のセラミックが割れる

歯ぎしりによって歯に強い力がかかると歯のセラミックの詰め物やかぶせものが割れることがあります。セラミックは噛み合う歯を傷つけないように、歯と同じか少し固めのセラミックを使うことが多いです。歯ぎしりがあると歯に強い力が加わり、セラミックが割れたり欠けたりします。しかし、あまり固いセラミックを使うと噛み合う歯が欠けたり、歯を支えている骨にダメージが加わることがあるため、歯ぎしり自体をコントロールする必要があります。

2−5.顎が痛い

歯ぎしりによって顎関節症になり顎が痛くなることがあります。顎は左右の関節の部分だけで頭の骨とつながっています。歯ぎしりによって顎の関節に力が加わると顎の関節にある軟骨の関節円板(かんせつえんばん)がずれたり、穴が空いたり、変形したりして顎関節症になり顎が痛くなります。

2−6.歯が割れる

歯ぎしりによって歯に大きな力がかかると、歯が割れてしまうことがあります。特に神経のない歯は水分が減っていきもろく、割れやすくなっています。亀裂から細菌が入り、歯茎が腫れたり、口臭が出てきます。大きく割れてしまった場合は抜歯をする必要があります。また、神経が残っている場合も割れることがあり、この時は強い痛みが出ることがあります。

2−7.歯茎が痩せる

歯ぎしりにより歯を支えている骨に負担がかかり、歯茎が痩せてしまうことがあります。歯周病や歯茎が腫れている方は、歯ぎしりの力によって歯を支えている骨の溶ける進行が早くなり、歯茎が痩せやすくなります。デンタルフロスや定期的な歯のメンテナンスによって、歯茎を強くしておく必要があります

2−8.肩がこる

歯ぎしりのある方は肩や首が凝りやすくなります。歯ぎしりに使う筋肉は顎から首、肩にかけて多くの筋肉がつながっています。歯ぎしりをすることによって筋肉が緊張し、疲労感がたまり、肩こりがなかなか取れないことがあります。

2−9.偏頭痛

歯ぎしりの時に使う筋肉には、顎から頭の横に広がっている側頭筋(そくとうきん)という筋肉があります。歯ぎしりによって筋肉が緊張すると側頭筋によって頭が締め付けられるような偏頭痛が起こることがあります。

2−10.骨隆起(こつりゅうき)

歯ぎしりがある方は顎の骨に歪む力が加わり、歪む力が集中する所に骨のこぶである骨隆起ができることがあります。骨隆起自体は悪いものではないので取る必要はありませんが、入れ歯や発音に障害が出るようになると切除する場合があります。

2−11.顔が大きくなる

歯ぎしりの時に使う筋肉は顔の周りに付いている筋肉です。歯ぎしりがある方はこの筋肉が発達し、顔がおおきくみえてしまうことがあります。もちろんこの筋肉は生きていくには重要な筋肉の為、ある程度は力が必要です。しかし、食いしばりを続けていくと異常に発達し、筋肉や骨を成長させて顔を大きく見せてしまうことがあります。

3.歯ぎしりの治療

3-1.マウスピースによる治療方法

歯ぎしりは原因が不明なために治療を行なっても確実に止めることはできません。しかし、そのままでは歯や顎に悪い影響を及ぼすためマウスピースによって守る必要があります。マウスピースは人工のものなので削れてしまっても作り直すことができますが、歯や神経を失ってしまうと元に戻すことはできないのです。

注意:市販のマウスピースは噛み合わせを悪くすることもある

通販等で売っている市販のマウスピースは自分で形を整え、歯に合わせます。奥歯まで覆うことができていないと、噛み合わせが悪くなってしまいます。噛み合わせが変わってしまうと、元に戻すには矯正治療をしなくてはいけない場合もあります。マウスピースは歯医者で型取りをして、自分に合ったものを作ってもらうようにしてください。

3-2.噛み合わせの治療方法

噛み合わせが悪い=歯ぎしりではありませんが、正しい噛み合わせにすることは重要です。抜いた歯や治療途中の歯、痛い歯などは治すことによって、左右両方で噛める噛み合わせにします。

3-3.矯正治療

歯並びが綺麗な方でも歯ぎしりをする方もいるので、確実に矯正治療をしたからといって歯ぎしりが止まる訳ではありません。しかし、矯正治療後歯ぎしりや顎の痛みが軽減する方は多く、矯正治療も有効な手段の一つです。

3-4.ボツリヌス菌

無毒化したボツリヌス菌を緊張した筋肉に入れ、筋肉の動きを止めます。これは顔のシワを取るために使われているものを歯ぎしりの筋肉に応用したもので注射で入れ3か月くらいもつと言われています。

3-5.自己暗示療法

癖を取るように日中意識のある時から歯と歯を合わせないように意識し、寝る前にも暗示をかけて歯ぎしりしないようにします。意識し続けることによって、習慣化していた歯ぎしりが減ってきます。

3-6.口の周りのマッサージ

緊張している筋肉の凝りをほぐし、口の周りの筋肉をリラックスさせます。筋肉の張りを取ることによって小顔にもなります。

4.子供の歯ぎしり

子供も歯ぎしりをする場合があります。成長に伴い顎が大きくなったり、生え変わりによって噛み合わせが変わったりします。その変化に対応するために歯ぎしりをして噛み合わせを自分で調整しています。また、場合によってはストレスによって起こることもありますので、スキンシップを多くとり安心させてあげてください。

まとめ

歯ぎしりは歯や顎にとって虫歯や歯周病より怖いものです。歯ぎしりによって虫歯や歯周病が悪化しやすくなったり、歯自体が割れてしまうからです。歯ぎしりの原因は完全には解明されていませんが、歯ぎしりをしている人はストレスをうまくコントロールし、マウスピースなども利用して、歯や顎の負担を減らしてあげる必要があります。